SKU(Stock Keeping Unit)とは、アパレル業界における在庫管理で用いられる最小単位です。SKUを導入すれば、商品をカラーやサイズなどの属性で細かく分類し、効率的に管理することが可能です。
当記事では、アパレル業界におけるSKUの定義から、その導入メリット・デメリット、そして実際の活用事例まで詳しく解説します。SKUを導入することで、在庫管理がどのように改善されるのかを理解し、自社の運営に役立ててください。
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SKUとは?アパレル業界の在庫管理に導入するメリット・デメリット
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2024.08.09
目次
SKUとは?アパレル業界における定義
SKUとは、アパレル業界の在庫管理において最小単位を数えるためのものです。「Stock Keeping Unit(ストック・キーピング・ユニット)」という用語の略称で、最小識別単位と呼ばれることもあります。
SKUはアパレル業界に限らず、IT業界・化粧品業界・食品業界などさまざまな業界で利用されています。SKUを利用すると、商品をカラー・サイズ・ロットといった最小単位で分類でき、効率的な在庫管理が可能です。
アパレル業界におけるSKUは、1つの商品をカラーやサイズで分類して、最も細かく分類された最小の単位を指します。
例としてTシャツのカラーが赤・青・白の3色で、サイズがS・M・L・2Lの4サイズ展開である場合、TシャツのSKU数は3×4=12SKUです。個々のアイテムについては、「LRTSH(L:Lサイズ、R:赤色、TSH:Tシャツ)」のように省略して表記できます。
SKUの基礎知識や単位の数え方などについては、以下の記事をぜひ参考にしてください。
アパレルの在庫管理にSKUを導入するメリット
アパレル企業は取り扱う商品品目や種類が多く、SKUの導入によって発注業務や在庫管理などで多くのメリットが得られる業界です。
アパレルの在庫管理にSKUを導入する3つのメリットを解説します。
商品の品目数が増えても管理しやすい
アパレル企業がSKUを導入すると、商品の品目数が増えても管理がしやすくなります。商品をカラー・サイズなどが異なるSKU単位で識別できて、売れ行きや在庫状況の把握・検索が簡単に行えるためです。
例を挙げると、「Tシャツのどのカラー・サイズで陳列数が少なくなっているか」「該当商品の在庫があるか」などの情報が、SKUを活用した管理システムで分かります。商品数が多いアパレル企業やアパレルECサイトでも、商品の適正管理が可能です。
新商品が入荷したときにも、個々の商品に対応するSKU番号を追加登録するだけで在庫管理を行えます。
商品の陳列を最適化できる
SKUの導入によって、従業員は商品の店頭・在庫数をすぐに把握できるようになり、商品の陳列を最適化できます。
SKUを導入していない職場で商品の陳列作業をする際は、従業員が店頭の状態と在庫を目視で確認します。店頭と倉庫を往復する必要があり、確認ミスも起こりやすいなど、多くの無駄が発生する業務のやり方です。
SKUを導入している場合は、管理システムにさまざまな情報が集約されています。商品ごとの陳列イメージを簡単に作れるため業務の無駄が発生しません。
SKUによる商品陳列の最適化は、取り扱う商品数と陳列スペースが多い大型店ほど効果を感じやすいメリットです
発注業務を効率化できる
SKUを導入すると、自社で作成したSKU番号を使って商品管理ができて、在庫が減少している商品をすぐに把握できます。在庫が減少しているSKU番号の商品をそのまま発注すればよいため、発注業務を効率化できる点がメリットです。
発注作業のたびに在庫数量を確認する必要がなくなって、従業員はより重要性が高い業務に集中できます。在庫データの入力ミスも起こりにくくなり、余剰在庫や欠品リスクの発生も防げるでしょう。
また、SKUは商品を細かく分類しているため、発注業務においても細かい条件を設定した発注がかけられるようになります。
アパレルの在庫管理にSKUを導入するデメリット
アパレル業界はSKUの導入が向いているものの、SKUには導入によるいくつかのデメリットもあります。
アパレルの在庫管理にSKUの導入を検討している方は、以下で紹介するデメリットに注意しましょう。
導入や運営にコストがかかる
SKUを導入する際は、POSレジシステムや在庫管理システムなども導入する必要があり、初期費用と運用費用がかかります。規模が小さい企業の場合、システム導入による負担が大きくなる点がデメリットです。
導入や運営にかかるコストをなるべく抑えるには、初期費用・運用費用が予算内に収まるシステムを導入する必要があります。複数のベンダーから見積りを取って、費用はもちろん機能面も優れているシステムを選びましょう。
SKUの導入にはコストがかかりますが、長期的には業務効率化や売上の向上によって、総コストを削減できる可能性があります。
導入時の事務的負担が大きくなる
SKUはアパレル企業にとって新しいシステムであり、導入時にはシステム運用による事務的負担が大きくなります。導入した当初は操作方法やデータの見方が分からず、業務効率が低下する可能性がある点に注意してください。
導入時の事務的負担を抑えるためには、操作方法が分かりやすいかどうかや、ベンダーによるサポートを受けられるかをシステムの選定基準に加えましょう。
また、SKUの導入時には操作方法について社内教育を実施する必要もあります。導入してすぐに万全の運用体制が取れるわけではないため、導入から運用までのスケジュールを立てることも大切です。
SKU番号の付け方をルール化する必要がある
SKUの導入後はSKU番号を決めなければなりません。
SKU番号は企業が独自に付けられる商品コードで、SKUを活用した在庫管理はSKU番号に基づいて行います。SKU番号の付け方を管理担当者に任せていると、担当者が変わったときにSKU番号の管理方法も変わり、現場を混乱させる可能性があるでしょう。
SKU番号の付け方は管理担当者に一任せず、企業全体で明確にルール化することが大切です。
なお、アパレル業界ではJANコードをそのままSKU番号にするケースもあります。SKU番号のルール化が難しい場合は、JANコードを流用してもよいでしょう。
アパレルの在庫管理にSKUを導入するデメリット
最後に、アパレル業界におけるSKU在庫管理の実例を2つ紹介します。
ファストファッションブランドの実例 |
ファストファッションブランドのA社では、2018年にRFIDタグでの在庫管理を開始しました。
RFIDタグは電子タグの一種で、商品の色・サイズ・素材などのさまざまな情報が埋め込まれています。SKUに基づく商品管理が可能となって、商品の検品・在庫管理・販売時などに商品情報を簡単に読み取れます。 在庫数の確認や商品販売がスムーズにできるようになって、業務効率化に成功しました。 |
アメリカンスポーツウェアブランドの実例 |
アメリカンスポーツウェアブランドのB社では、自社が製造・販売する商品に商品番号・SKU番号を割り振っていて、自社商品を詳細に管理できる体制を作っています。
商品番号について例を挙げると、商品が男性向けか女性向けか、もしくは子ども向けかでコードを分けています。ほかにも商品の形状や、ロゴデザインの配置でコードが分けられていて、商品番号だけでも商品を詳細に分類できる仕組みです。 商品番号の下にはさらにカラー・サイズなどのSKU番号があり、商品番号とSKU番号の組み合わせで固有の商品が示せるようになっています。 |
SKUによって業務効率化を図るには、在庫管理業務の改善も必要です。在庫管理の改善や効率化については以下の記事で紹介しています。
まとめ
SKUの導入は、アパレル業界において在庫管理の効率化を図るための強力な手段です。商品の分類が細かくなることで、発注や陳列の最適化が進み、業務の無駄を減らせます。しかし、導入には初期費用や運用コストがかかるため、企業の規模や予算に合わせた慎重な選定が必要です。
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