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ネットショップ運営者必見|不正注文の手口と対策、EC向け不正検知システム5選

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  • #EC運営

2025.05.28

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近年、EC市場の成長に伴い、不正注文による被害が深刻化しています。特に、クレジットカードの不正利用や転売目的の大量注文、ポイント搾取を目的とした悪質な注文が多発し、ネットショップ運営者にとって大きなリスクとなっています。
この記事では、ECサイトにおける不正注文の代表的な手口とそのリスクを明らかにし、実践的な防止策や信頼できる不正検知システムを5つご紹介します。最新の脅威を理解し、万全な対策を講じるための情報を網羅的にお届けします。

ECで不正注文が増加している背景

EC市場の成長に伴い不正注文が急増しています。特に2020年以降はコロナ禍によりオンラインショッピングの需要が拡大し、非対面・非接触の取引が常態化しました。こうした変化は利便性を高めた一方、不正利用者にとっては攻撃が容易となり、ECサイトは標的になりやすい状況となっています。

また、クレジットカード情報の流出事件が後を絶たず、フィッシングサイトや闇市場での情報売買も活発化しています。加えて、海外からのアクセスが容易になる中、中小EC事業者のセキュリティ対策が後手に回っていることも不正注文増加の要因となっています。

日本クレジット協会によれば、2024年のクレジットカード不正利用被害額は過去最悪となる約555億円。特にネット通販での被害が顕著であり、不正注文の対策はすべてのEC事業者にとって喫緊の課題となっています。

(参考情報:クレジットカード不正利用被害の発生状況/一般社団法人日本クレジット協会)https://www.j-credit.or.jp/information/statistics/download/toukei_03_g.pdf

ECにおける不正注文の代表的な手口とリスク

不正注文は年々巧妙化し、多様な手口が存在しています。ここでは代表的な6つの手口を紹介します。

クレジットカードの不正利用

前述の通りクレジットカード不正利用による被害総額は年々増加傾向にあります。

内訳は
・偽造カード
・番号盗用
・その他

の3つに分かれており、このうち番号盗用による被害が全体の90%以上を占めています。

流出したクレジットカード情報を使って不正利用者が商品を購入。その後、カード保有者に対して身に覚えのない請求が届くという被害が多く報告されています。被害者にとっても運営者にとっても気づきにくく、チャージバック*による売上損失のリスクがあります。

*…チャージバック:クレジットカードの保有者=消費者を不正利用から守る仕組み。保有者が同意しない決済はクレジットカード会社が売上を取り消すことができ、代金は保有者に返金されます。

転売を目的とした大量購入

フリマアプリやオークションサイトでの転売を目的に、人気商品や希少価値が高い商品(初回限定品など)を、複数のアカウントを使って短時間で大量購入する手口です。

なお、正規の価格料金よりも高額で転売する行為、法律で転売が禁止されている商品を転売する行為を除き、転売自体は違法ではありません。

転売目的の大量購入によってEC事業者は、正規店での販売機会の損失、ブランド価値の低下、不正転売品購入者からのクレーム対応といったリスクに晒されることになります。

ポイント搾取を目的としたいたずら注文

購入の意思が無いにも関わらず、いたずら目的で注文とキャンセルを繰り返す手口となります。

ただ単に嫌がらせを目的としている場合もあれば、購入特典となるポイントが発生した直後にキャンセルを行い、ポイントだけを搾取するケース、またアフィリエイターが不正にアフィリエイト報酬を得ることを目的としたケースもあります。

この場合、梱包や発送手配にかかるコストや人的リソースが無駄になる他、本当に欲しい人が買えなくなる販売機会の損失、一度被害に遭うとターゲットにされて繰り返しいたずら注文を受けるといったリスクがあります。

集合住宅の空室やレンタルオフィスでの商品受け取り

集合住宅の空き部屋の他、マンションの内見物件やレンタルオフィス、貸しスタジオなどで商品を受け取る手口です。

悪質な場合、あえて部屋番号を指定せず、配達員からの連絡を待って不法侵入した空き部屋で商品を受け取るというケースもあります。

商品受け取り後はすぐに契約を解除されるため追跡が困難になり、商品回収を諦めざるを得ない結果となる事も多くあります。

海外転送サービスの悪用

商品の発送先を海外転送サービスが指定する住所にすることで、住所から不正注文であることが割り出せないようにする手口です。

海外転送サービスを悪用するケースでは、不正に取得したクレジットカードの情報で決済が行われている可能性が多いです。

商品が国外に転送されるため追跡が非常に難しく、残念ながら商品の回収も困難となります。

「荷受代行」「荷物転送」のアルバイトを利用

SNSや求人サイトなどで「荷物受取代行」といった名目でアルバイトを募集し、商品を代理で受け取らせる手口です。

また、雇われた本人は違法性の自覚がないまま犯罪に加担する事になってしまい、捜査が複雑化する傾向にあります。

また、商品は転売による値崩れなどにより、大きく価値を下げてしまう恐れがあります。

不正注文によって発生するリスクは売上や商品の損失はもちろんのこと、トラブルやクレームへの対応の増加、ブランドに対する信頼性の低下などが挙げられます。

不正注文で狙われやすい商材の特徴

以下は不正注文のターゲットになりやすい商品例となります。

・ブランド品
・スマートフォン
・パソコン
・ゲーム機
・公式グッズなど限定商品
・チケット

など

フリマアプリやオークションサイトなどで転売がしやすく、換金性の高い商材が被害に遭う傾向にあります。

なお、最近では化粧品や健康食品など、低価格な商品にも被害が出ているとの報告があります。

不正注文を見抜くためのチェックポイント

注文内容を目視で確認されている方のために、不正注文か否かを判別するための確認項目を紹介いたします。

同一人物による連続注文

同一人物が何度も注文している場合は転売を目的とした不正注文を疑いましょう。

初回限定品、人気の高いブランドやキャラクターグッズは転売による利益を得やすいため、特に注意が必要です。カラーバリエーション、サイズバリエーションがある商品はカラー・サイズ毎にまとめ買いされている場合も不正注文の可能性があります。

一定金額以上の高額注文

不正注文の場合、転売で高い利益を得るために高単価商品を購入する、もしくは大量購入をするため注文金額が高くなる傾向があります。

注文金額だけで不正か否かを判断するのは非常に難しいところですが、はじめての購入にも関わらず平均顧客単価を大きく超える注文が入った場合は、他のチェックポイントとも照らし合わせた上で慎重に判断するようにしましょう。

注文者名の漢字とフリガナ

見慣れない漢字が使われている、または漢字と英語が組み合わされているなど、お名前に不自然な点があった場合も不正注文の可能性があります。

漢字とフリガナが一致しているかどうかも重要な確認ポイントです。

例)
漢字:田中⇒フリガナ:デンチュウ
漢字:山田⇒フリガナ:サンテン

など

また、フリガナ欄を埋めるためだけに「フリガナ」「セイメイ」といった適当な文言が入力されているケースもあります。

お届け先の住所

住所が番地まで書かれているかどうかも重要なチェックポイントです。不正注文の場合はわざと番地までを記入しないケースがあります。

また、番地の後に続く情報が、一般的な建物名や部屋番号ではなく、違和感のある数字やアルファベットが入力されている場合も要注意です。

電話番号の数字の羅列

ぱっと見では不正か否かの判断がしづらい項目ではありますが、市外局番が見慣れない数字であったり、下4桁が同じ数字の連続など、一般的ではないと思われる数字が羅列されているケースがあります。

このような場合はダミーの電話番号が入力されている可能性があり、不正注文が疑われます。

怪しいと感じた場合は直接電話をかけて本人確認を行ったり、番号そのものをネットで検索して不審な情報が無いかチェックをしてみることもおすすめです。

メールアドレスの構成

一般的なメールアドレスは「ユーザー名@ドメイン名」で構成されていますが、ユーザー名の部分がランダムなアルファベットや数字が並んでいる場合は、使い捨てのフリーメールアドレスが使われている可能性があるので要注意です。

特に海外の無料ドメインは日本からのメール送信ができないこともあり、注文者との連絡が取りにくい場合があります。

また、類似のメールアドレスから短時間で複数件の購入が発生している場合も不正注文を疑いましょう。

不正注文を防止するための具体的な対策

不正注文の被害を未然に防ぐためには、複数の対策を講じる必要があります。ここでは代表的な4つの対策を紹介いたします。

本人認証(3Dセキュア)の利用

3Dセキュアとは、カード会社が契約者に提供する本人認証の仕組みであり、決済時にカード所有者に対してワンタイムパスワードなどで本人確認を行い、不正利用を未然に防ぐサービスです。

なお、3Dセキュアは従来の1.0から2.0(EMV3DS)へバージョンアップされたことによってセキュリティが強化されましたが、2025年3月までにすべての加盟店で3Dセキュア2.0の導入が必須となっています。

券面認証(セキュリティコード)の利用

券面認証とは、クレジットカードの裏面に記載されている3~4桁の番号=セキュリティコードを入力してもらうシステムです。

セキュリティコードはカードを所持していなければ確認することができず、決済時の入力項目が増えることで不正利用の軽減が望めます。

配送先情報の蓄積・利用

これまでに不正利用で使われた配送先情報を蓄積しておくことで、同じ住所からの再注文があった際にブロックすることができます。

ただし、配送先情報の蓄積にはある程度の販売実績・時間を要する事がネックです。

不正検知システムの利用

不正注文に対する最も有効な手段が不正検知システムの導入です。

不正検知システムは、不正注文の可能性を事前に察知して注文そのものをブロックすることができます。

不正注文対策の強化とカゴ落ちはトレードオフの関係にありますが、不正検知システムであればカゴ落ち対策をしながらも不正注文のブロックを強化できます。

また、不正検知システムを導入することで不正注文のチェック工数削減も図れます。

不正注文対策に役立つ不正検知システム5選

最後にECに向いている不正検知システムを5つ紹介いたします。

O-PLUX(かっこ株式会社)

https://frauddetection.cacco.co.jp/o-plux/

累計導入110,000サイト以上の共有データによるエビデンスと行動分析を活用した不正検知がO-PLUXの強みです。

クレジットカードの不正利用だけではなく、いたずら注文やなりすまし注文への対策も行えます。料金面でも初期費用30万円、月額費用は3万円~と導入しやすい料金体系となっています。

ASUKA(株式会社アクル)

https://akuru-inc.com/service/asuka/

決済オーソリゼーションの前に効果的に不正アクセスを排除できる独自の本人認証ツールがASUKAの強みで、30,000以上のECサイトに導入されてきた実績があります。

お申込みから導入まで最短1~2週間というスピード感も特徴であり、費用は従量課金ではなくプランに応じた固定価格制となっています。

Sift(Sift Science, Inc.)

https://sift.dgbt.jp/

AIによるリアルタイム機械学習モデルなど、最先端のテクノロジーを有した不正検知システムです。

クレジットカードの不正利用、アカウント乗っ取り、限定品の大量購入など様々なタイプの不正対策が可能で、34,000以上のサイト・アプリで導入されています。

具体的な料金は公開されておらず、個別見積となっています。

CAFIS Brain(株式会社NTTデータ)

https://www.nttdata.com/jp/ja/lineup/cafis_brain/

CAFIS Brainはエンドユーザーのデバイス情報や豊富な不正判定ルールを活用することで、不正取引を高精度で検知できるシステムです。

不正注文をはじめ会員サイトの不正ログイン、不正送金等を検知して未然に防ぐことができます。

公式の資料ではNTTデータの国内ハイセキュリティ・データセンタを活用したクラウド型サービスのため、安価に利用が可能と記載されています。

Riskified(Riskified Japan株式会社)

https://www.riskified.com/ja/

AI搭載の不正検知システムで、1件の注文につき480以上のデータ属性を調査し、競合他社とのパフォーマンス比較において2~3倍の不正検知制度を証明しています。

世界の大手ブランドやEC事業者の導入実績があり、国内ではユナイテッドアローズが導入しています。

 まとめ|不正注文対策は事後対応ではなく“事前防御”が鍵

不正注文の被害は、EC事業者にとっての経済的な負担や業務負担だけでなく、ブランドそのものの信頼低下にも直結します。これを未然に防ぐには、目視による確認だけでは不十分であり、不正検知システムの活用が不可欠となってきています。

被害を未然に防ぐ体制づくりこそが、持続可能なEC運営の土台となりますので、不正対策は「コスト」ではなく「投資」と捉え、自社の規模や取扱商材に見合った最適な対策を講じていきましょう。

株式会社清長ではEC事業者様をサポートする物流サービスを提供しています。

不正注文対策の実施に加えて、物流業務をプロに外部委託することでより安心してネットショップを運営することができます。

不正検知システムの提供会社についても一部ご紹介が可能なので、不正注文対策と併せて物流業務の改善にも関心をお持ちのEC事業者様は、ぜひご相談ください。

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