ECサイトの売上増加に伴い課題になりやすいのが物流です。
ECサイトの物流品質はショップレビューやブランドイメージに寄与するため売上に大きく影響します。
昨今ではECサイトの規模拡大に応じて物流業務をアウトソーシングする企業も増加しています。
本記事ではEC物流代行に委託可能な領域やメリットデメリット、選ぶ際のポイントを解説していますのでぜひ参考にしてください。
ロジモプロ
アカデミー
EC物流代行とは?導入時のメリットやポイント、選び方を解説!
- #アウトソーシング
- #EC物流
- #発送代行
2025.05.14
目次
EC物流代行とは?
EC物流代行とはEC運営に伴い発生する物流業務の一部、もしくは全てを外部の企業に委託するサービスです。
自社で行っていた物流業務をアウトソーシングすることで、今まで物流業務に割いていた時間や人的リソースをコア業務へと集中させることができます。
また、EC物流代行には大きく分けて「3PL」と「フルフィルメント」の2種類があります。
3PL
3PLは「Third Party Logistics(サードパーティー・ロジスティクス)」の略で、EC事業者でも運輸会社でもない第三者企業が物流業務の一部、もしくは全てを代行するサービスです。
3PLは画一的なサービスとカスタマイズ型のサービスの2つに大きく分けることができます。
画一的なサービスでは提供されるサービスとそれに伴う料金があらかじめ提示されているため、自社の規模や要望に合わせてカスタマイズすることができない一方で契約期間の縛りがない、料金が完全従量課金制など導入ハードルが低いという利点があります。
カスタマイズ型のサービスでは自社が求める作業や付帯サービスをカスタマイズしながら業務フローを構築できるという特徴がある一方で、導入まで数か月の時間を要する、事業規模によっては売上に対しての物流費が高額になってしまうなどデメリットも持ち合わせています。
フルフィルメント
フルフィルメントとは商品が注文されてから顧客の手元に商品が届くまでに発生する一連の業務プロセスを指しています。
3PLが対応する業務範囲はあくまで物流業務のみなのに対し、フルフィルメントでは物流業務やカスタマーサポートや返品対応、代金回収などの決済業務も含まれていることが特徴です。
EC物流が抱える課題
EC物流代行の解説に入る前に、まずEC物流が抱える代表的な課題について紹介します。
商品管理・在庫管理
EC物流は多種多様な商品を取り扱っている場合が多い、季節性やセールなどにより繁忙期と閑散期があるなどの要因により、在庫管理において「管理が複雑になりやすい」「在庫を適切な水準で保持することが難しい」という2つの課題があります。
取り扱う商品種類が多い場合、ピッキングのスペースを細分化する必要があり、ピッキングが複雑になってしまいます。
ピッキングが複雑になった結果、ピッキング1件あたりにかかる時間が増えると同時にミスも発生しやすくなります。
また、在庫を抱えることで欠品や受注機会損失を回避することが可能ですが、保管費用の増加や商品の劣化などの問題が発生する場合があります。
物流コスト
EC物流に係る代表的なコストとして以下が挙げられます。
- 人件費
- 賃料
- 設備、備品
特に人件費は繁忙期や閑散期がある関係上、時期によって必要な人員の数が異なるため常に一定の人材を確保することは難しいと言えます。
繁忙期に備えて人材を雇った場合、閑散期には過剰な人員としてコストを圧迫してしまう一方で、人手が足りない状態で出荷業務を行った場合、出荷の遅延や品質の低下を引き起こす原因となってしまいます。
物流品質
EC物流における品質はネットショップのレビューや口コミ、ブランドイメージに直結するため質の高い物流品質が求められます。
誤った商品を届けてしまったり、中で商品が破損している場合などはクレームに繋がってしまうこともある他、誤った宛先に商品を届けてしまった場合、第三者に名前や住所などの個人情報が渡ってしまうこともあります。
EC物流は実店舗などに商品を納品する物流などと比較してミスの影響が深刻になってしまうことが多く、より慎重に業務を進める必要があります。
また、ECサイトで商品を購入する消費者は少しでも早く届けてほしいと考えている人が多く、注文から到着までのスピードを理由にネットショップを選んでいる方も少なくありません。
少しでも配送までのリードタイムを改善するためにはEC物流全体の最適化が必要です。
EC物流代行で委託可能な業務
EC物流代行で委託可能な業務には、次のような内容が挙げられます。
委託可能な業務は多岐にわたりますが、代行業者によって委託可能な業務範囲は異なります。
入庫・検品 | ECサイトで販売している商品を倉庫で受け入れ、商品の状態や数量を確認します。また、同時に商品の検品を行い破損や欠品、不良品の有無を確認します。 |
保管・在庫管理 | 入荷した商品を適切な環境で保管、管理します。適した環境で保管していない場合、商品が劣化、破損してしまい商品価値が無くなってしまう場合があります。また、欠品による機会損失や過剰在庫によるコスト増加などを防ぐために適切な在庫数と状態で管理を行うことが重要です。 |
受注処理・出荷業務 | 受注処理とは顧客からの注文を受け、出荷指示を出すなど注文を処理する一連の業務を指します。多くのEC物流代行業者の場合、EC事業者側のシステムと連携可能なWMS(倉庫管理システム)によって出荷指示の元となるデータを取り込み、出荷業務を行います。 |
ピッキング・梱包 | 出荷指示を受け、商品を指定のロケーションからピッキングし、梱包を行います。サービスによってはギフトラッピングや熨斗、メッセージカードの同梱などを行うことも可能です。 |
EC物流代行を利用するメリット
EC物流代行を利用することで得られる代表的なメリットを紹介します。
コア業務へ専念できる
物流業務の一部、もしくは全てをEC物流代行業者へ委託することで今まで物流業務に割いていた人的リソースや時間、場所などを他のコア業務へと回すことが可能です。
商品開発や販促活動などコア業務へとリソースを回すことで更なる売上拡大が期待できます。
物流コストを最適化できる
自社で物流業務を行っている場合、繁忙期閑散期を問わず常に一定の人件費や賃料などのコストが発生します。
自社で倉庫を借りた場合や自社オフィスの一角で発送業務を行っている場合、シーズンを問わず一定の保管スペースが確保されているため、保管に係る費用が固定費化してしまいますが、委託した場合はシーズンごとに必要な分だけ利用することができる場合が多いため変動費として扱うことができます。
また、人件費についてもEC物流代行業者側で人員の手配を行ってくれるため、自社で人材を雇用する必要がなく、シーズンに応じた変動費として最適化することができます。
顧客満足度の向上につながる
物流ではシステムなど機械の力を借りる部分はあるものの、商品のピッキングや梱包など人の手で作業する領域も少なくありません。
作業スタッフのクオリティを一定のレベルで担保できていない場合、ミスが生じクレームに繋がってしまうこともあります。
EC物流代行業者は物流のプロであり、物流に関する網羅的なノウハウと設備を持ち合わせています。
スタッフの教育をはじめ、作業フローの構築、マニュアルの徹底など高い物流品質を維持することが期待できます。
物流品質は顧客満足度に繋がり、ECサイトの成長に大きく寄与する要因となるため、慣れない環境で物流業務を構築するよりも、EC物流代行を利用した方が、ECサイトの成長を促すことができる場合も多いです。
EC物流代行を利用するデメリット
EC物流代行を利用することで得られるメリットがある一方で、デメリットも存在します。
ここでは代表的なデメリットをいくつか紹介します。
自社にノウハウが蓄積しない
EC物流代行を利用する場合、自社で行う物流業務の比率が減少します。
そのため、物流に関するノウハウを蓄積することが難しいと言えます。
将来的に事業の拡大や戦略変更に伴い、物流業務の委託を中止し自社配送に切り替える可能性がある場合はEC物流代行業者との連携を通じて、物流に関する知識や経験を積む必要があります。
コミュニケーションコストが発生する
自社で物流を完結する場合と比較して、EC物流代行を利用する場合は外部とのコミュニケーションコストが増加します。
具体的には、商品の納期や数量、梱包方法などの打ち合わせから日々の出荷作業の確認などさまざまな場面で委託先とのコミュニケーションが必要になります。
定期的なミーティングが行われておらず委託先とのコミュニケーションが不十分な場合、重大なミスを引き起こす原因となってしまう場合もあるため必ず密に連携をとることを心がけましょう。
顧客情報漏洩のリスクが生じる
EC物流代行を利用する場合は、注文情報や配送情報などを業務の委託に伴いEC物流代行業者へ共有する必要があります。
購入者の名前や住所、電話番号の他、場合によっては購入履歴やクレジットカード情報などを共有することもあります。
情報を共有する以上、情報漏洩が生じるリスクが必ず生じてしまいますので、EC物流代行業者を選定する際は、セキュリティ対策がしっかりしている業者を選ぶことを心がけましょう。
また、情報漏洩のリスクを軽減するためにも、契約内容に注意を払い、情報取り扱いに関する条項や秘密保持契約の締結を明確にすることが重要です。
EC物流代行を選ぶ際のポイント
実際にEC物流代行業者を選ぶ際のポイントを解説します。
実績・評価
EC物流代行業者を選ぶ際は実績や評価を考慮して選定することが重要です。
企業のWebサイトの多くは導入事例や運用実績、継続率や導入数の実績など多様な情報が掲載されていますので必ず参考にしましょう。
その他、口コミなどを参考にしてみることもおすすめです。
対応可能な領域・サービス
自社が取り扱っている商品や委託したい作業に対応可能かどうかを必ず確認しましょう。
例えば冷蔵や冷凍での保管が必要な場合はそれに応じた設備を所有している代行業者でなくては対応ができません。
その他、商品のサイズが大きい場合や食品など期限管理が必要な商品を取り扱っている場合も必ず確認が必要です。
また、食品や医薬品、化粧品など特定の資格や許可を取得している企業でないと扱えない場合もありますので事前に必要な資格や許可を把握しておきましょう。
金額・料金体系
EC物流代行業者ごとに設定されている費用や料金体系は提供しているサービス領域によって異なります。
自社の商品の性質と求める作業領域によっても費用の相場は変わってきますので、費用や金額が事前に提示されていない場合は事前に問い合わせて見積を取るなど確認しましょう。
事業規模や販売価格に合わせたEC物流代行業者を選べていない場合、売上に対して物流費が高くなってしまい利益が残らなくなってしまいます。
求めるサービス領域とコストを照らし合わせ無理なく委託できるEC物流代行を選ぶことが重要です。
柔軟性
日々の出荷量の増減への対応や保管スペースの変動などへの柔軟な対応はもちろんですが、新商品の取り扱いや新たな付帯作業の追加などEC運営を続けていく中で変化する物流面へのニーズに柔軟に対応できる業者であるかどうかも重要です。
将来的な成長に対応できる柔軟性、拡張性を持ち合わせているかどうかは必ず確認しましょう。
サポート体制
トラブルが生じた際に、迅速かつ適切なサポートを行ってくれる業者であるかどうかも大切です。
トラブルが起きた際、迅速に対応を行うことでクレームへとつながることを防ぐことができますが、反対に対応が長引いてしまうとクレームへと繋がり顧客満足度の低下につながってしまう恐れがあります。
また、定期的な報告やミーティングなど導入後のフォロー体制についても確認しておきましょう。
EC物流代行の導入を検討するタイミング
EC物流代行の導入を検討するべきタイミングをいくつかご紹介します。
出荷物量の増加
EC物流代行を導入するタイミングとして最も多いのが「出荷物量の増加」です。
出荷物量の増加は出荷作業の業務負荷が増えるだけではなく、在庫の保管スペースなどにも影響します。
また、EC事業の拡大に伴い新商品の取り扱いやセット商品などの品目が増えていくことで在庫管理や受注管理が煩雑になっていきます。
販売機会の損失を防ぐためにも、出荷物量が増加したタイミングで一度物流体制の見直しを行うことが重要です。
販路の拡大
現在の販路に加えてさらに販路を拡大するタイミングも導入検討のタイミングと言えます。
販路を広げることで出荷物量が増えることが予想されるため、前述した通り今までのオペレーションで対応ができず、販売機会の損失やネットショップ、ブランドイメージの低下に繋がってしまう場合もあります。
大手のECモールへ販路を拡大した場合は定期的なセールやキャンペーンによって物流波動が生じることも考えられるため、一度EC物流代行の導入を検討することをおすすめします。
物流品質・リードタイムの改善
既に自社で発送業務を行っており、誤出荷や梱包不備など物流品質に課題を感じている場合や購入者に届くまでのリードタイムを改善したい場合も導入を検討するタイミングと言えるでしょう。
EC通販は物流品質やお届けまでのリードタイムが顧客満足度に直接的な影響を与えるため、物流を改善することで売上拡大に繋がります。
まとめ
今回はEC物流代行の業務範囲やメリット・デメリット、導入の際に検討するポイントなどを解説しました。
EC物流代行を導入することはEC事業者にとって非常にメリットが多く、EC事業を成長させていくために必要な要素であるとも言えます。
昨今のEC市場は多様な消費者ニーズがあり、自社のみで対応していくことは困難な場合が多く、EC物流代行を上手く活用することで消費者ニーズに対応できるだけでなく、浮いた人的リソースをコア業務へと充てることなども可能です。
EC物流代行業者によってサービスの内容や提供領域もさまざまなため、自社の規模や取り扱う商品、求める作業領域に合わせて委託先の選定を行うことを心がけましょう。
株式会社清長では、カスタマイズ型の物流代行サービス「ロジプレミアム」と画一的なクラウド物流代行サービス「ロジモプロ」を提供しています。
事業規模や求める作業領域に応じてサービスを選ぶことが可能なため、事業規模や取扱商材を問わずEC物流代行を導入することが可能です。
EC物流代行の利用をご検討の場合は、ぜひ清長へ一度お問い合わせください。