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誤出荷を改善する対策方法7選|ミスが起きる原因も徹底解説

  • #EC物流
  • #発送代行

2024.04.01

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ECサイトを運営する上で悩む点として、誤出荷を挙げる方もいるでしょう。誤出荷が起きるとクレーム対応に追われるだけでなく、悪いレビューが付き、顧客離れが起きることから、ECサイトの運営者にとって誤出荷率の改善は重要事項です。誤出荷はヒューマンエラーが原因で起こるため、原因を知り適切な対策を打てば誤出荷率の低下につながるでしょう。

この記事では誤出荷が起こる7つの原因や、誤出荷によって起こりうる悪影響、誤出荷を改善する対策方法を徹底解説します。

倉庫で起こる誤出荷とは

誤出荷とは、商品や数量を間違えて出荷したり、出荷先を間違えたりすることです。

昨今では出荷作業の自動化が進められているものの、人が担っている部分も多く、ヒューマンエラーが発生しやすいという課題があります。特にカラー展開やサイズ展開が多い商品を発送する際や、複数の宛先への出荷業務を並行して行う場合などに、誤出荷が起こりやすいと言えます。

人の手による作業工程がある以上、ヒューマンエラーをゼロにするのは困難です。しかし、誤発送が発生すると顧客に迷惑がかかり、トラブルに発展する恐れがあります。同時に会社の信用も揺らぎ、顧客が離れたり、利益が減少したりといった事態にもつながりかねません。そのため、誤出荷を未然に防ぐ取り組みを行うことが重要です。

誤出荷率は0.001%(10万件の出荷に対して1件)以内に抑えるのが理想とされています。誤出荷率は「誤出荷件数÷出荷受注数」の計算式で算出可能です。例えば、出荷受注数100個のうち誤出荷件数が2件だった場合、誤出荷率は2÷100=0.02で2%となります。

誤出荷の原因7つ

誤出荷の原因について知れば、適切な対策を講じることが可能です。誤出荷の主な発生原因として以下の7つが挙げられます。

  • 入荷~保管の間のミス       
  • 商品の取り違え 
  • ピッキングミス          
  • 数量の間違い           
  • 宛先・納品書の付け間違い     
  • 出荷指示の抜け漏れ        
  • 検品不足

それぞれの原因について詳しく解説します。

入荷~保管の間のミス

商品を入荷~保管するタイミングで発生したミスが、誤出荷の直接的な原因となるケースもあるため注意が必要です。

在庫管理は、入荷した商品を正確に保管することから始まります。現品と納品書を照合して商品が正しく入荷されたかを確認し、適切な場所に格納して、在庫管理表などに情報を入力するというのが大まかな流れです。

入荷~保管の間で起こりやすいミスとして、入荷した商品を、本来格納すべきロケーション(棚)ではなく似た商品を保管する別の場所に入庫することが挙げられます。また、在庫の数え間違いも発生しやすいため注意が必要です。入荷~保管の間のミスは、特にロケーション管理が煩雑になっている場合に発生しやすい傾向があります。

商品の取り違え

商品の取り違えは、誤出荷の原因の中でも多い問題です。商品の見た目だけを頼りにピッキングした場合、品番や色・形の違いを見落としてミスが発生します。特にカラーバリエーションやサイズ展開が豊富な商品では、しっかりと比較しない限り違いを判断できないケースも多く、取り違えにつながりやすい傾向があります。

しかし、メーカー品番と商品名を元にピッキングを行い、色やサイズの判別は作業者の目に頼る事業者も少なくありません。商品の取り違えによる誤出荷を減らすためには、誰が作業にあたっても正確にピッキングできるルールを導入する必要があります。

ピッキングミス

ピッキングは、ピッキングリストに基づいて必要な品物を集めるというシンプルな作業です。しかし、単純作業ゆえに作業者それぞれが独自のルールに基づいて作業をするケースが多く、ミスが発生しても原因の特定が難しい点が問題となっています。

ピッキングでは以下のような原因によってミスが発生しやすい傾向です。

  • ピッキングリストが情報過多で分かりにくかった       
  • 似た情報と見間違えた
  • 前後情報と混同した         
  • 経験による思い込みに基づいて作業した           
  • 確認作業を怠った

数量の間違い

発注された数量と実際の出荷数を間違えるケースも少なくありません。例えば、ほとんどの顧客が1点のみ発注する商品において、1人だけ2点発注したとします。すると、1点のみの出荷作業に慣れた作業者が思い込みから数量を間違え、1点のみで出荷してしまう場合があります。新人作業者だけではなく、中堅やベテラン作業員でも起こりやすいミスです。

同一商品の購入数量が多い場合、途中でどこまで数えたかが分からなくなり、ミスにつながることもあります。また、作業員がうっかり数を飛ばしたり、手元を無意識に動かしたりしている場合は間違いを自覚できず、誤出荷につながるため注意が必要です。

宛先・納品書の付け間違い

送り状伝票を手書きで作成している事業者の場合、納品先の住所や宛名の書き間違いによって誤出荷が発生することがあります。送り状伝票をデジタル処理している場合でも、入力作業のミスによる誤出荷が発生する可能性はゼロではありません。また、ピッキングや梱包作業、送り状伝票の作成がすべて正しく行われていても、送り状伝票を間違った荷物に貼付した場合、誤出荷につながります。

出荷作業において、送り状伝票は納品書と一緒に印刷してセットで管理するのが一般的です。しかし、何らかの理由でクリップなどが外れ、ほかの納品書とセットになってしまい、貼り間違いにつながるケースもあります。同じ作業スペースで複数の作業をした場合、送り状伝票と納品書が混ざってしまい、どれがセットなのか分からなくなるケースもあるため要注意です。

出荷指示の抜け漏れ

ピッキングリスト自体に抜け漏れがあると、例え出荷作業が正確に行われても誤出荷が発生してしまいます。出荷作業者だけではなく、出荷指示を出す受注管理側もミスがないように細心の注意を払うことが大切です。

ただし、受注管理ではエンドユーザーからのさまざまな要求に手管理で応える必要があるため、出荷指示ミスをゼロにするのはかなり難しいと言えます。電話注文、FAX注文、不良対応などに応じて、受注処理をその場その場で手入力するケースも多く、ヒューマンエラーが発生しやすいのが実情です。

検品不足

検品は基本的に人が行い、機械による自動化が進んでいる企業でも最終的には人がチェックすることになります。しかし、目視による検品では商品の色やサイズなどを正確に判別できないため、間違いに気付かないまま出荷されるケースも少なくありません。

また、正しい商品を正しい購入者に送る状況でも、検品不足によって以下のような問題が発生する場合があります。

  • 商品の破損                
  • 汚れの見落とし          
  • 異物混入        
  • 沈殿物の見落とし           
  • 賞味期限、消費期限、使用期限切れの見落とし

誤出荷によって受ける悪影響

誤出荷を繰り返した場合、顧客からのクレーム対応が必要になるだけでなく、商談の停止や取引の終了、取扱い縮小などのリスクが高くなります。加えて、以下のような悪影響を受ける可能性が高いため注意が必要です。

個人情報や重要情報の漏洩につながる

ECサイトなどの場合、納品書や送り状伝票に記載される氏名・住所・電話番号は個人を特定し得る情報です。取引先であれば、注文した商品内容などの社内情報は重要情報にあたる可能性があります。誤配送が発生すると、第三者に本来知り得ない情報が伝達されることになり、個人情報や重要情報の漏洩につながるため注意が必要です。個人情報や重要情報が渡った第三者が悪意ある人物だった場合、得た情報を利用して本来の注文者になりすますなどの犯罪行為を行う可能性も考えられます。

なお、配送事業者の誤配送によって個人情報が漏洩した場合、配送事業者を利用した個人情報取扱業者が報告義務を負います。自社だけでなく取引先にも大きな迷惑をかける点に注意し、万が一誤配送が起きたときは速やかに情報を共有しましょう。

取引先の信頼を失う

取引先は、正しい商品が希望の日時に問題なく届くことを前提に発注します。商品を急ぎで使用する予定があり、指定した日付に届かなければ問題が生じるというケースも少なくありません。そのため、一度でも誤配送を起こすと取引先からの信頼度は著しく下がります。ECサイトの場合、誤配送を繰り返せばレビューの悪化やショップの評価低下が発生し、まだ利用していない顧客からの信用も失うでしょう。

また、誤配送が発生した場合はクレーム対応や返品対応、正しい商品の再送などに時間や労力を割く必要があり、売上機会を損失します。取引先から「取引アイテムを増やすとその分トラブル対応が大変になる」と思われた場合、将来的な顧客との取引機会も失うことになるでしょう。

無駄なコストが発生する

誤配送が発生した場合、以下のような対応が必要になり、相応の時間的・金銭的コストがかかります。

  • クレーム対応
    誤配送が発生した際には、状況確認や取引先からのクレーム対応など、イレギュラーな業務が必要になります。通常業務が滞り、残業代など追加の人件費がかかるケースも少なくありません。
  • 正しい商品の再発送
    誤配送した際には正しい商品を再発送する必要があります。当然送料は発払いになり、その分利益は下がります。
  • 返送料金の負担
    誤配送した商品を取引先から返送してもらうための送料も事業者負担です。
  • 回収した商品への対応
    返送された商品が再販売できない状態の場合、当該商品を購入した費用も無駄になります。
  • 在庫の修正
    出荷商品の数量を間違えた場合、帳簿上の在庫数と実際の在庫数とが合わなくなり、原因究明に多大な時間と労力がかかるでしょう。

誤出荷を改善するのに有効な対策7選

誤出荷を改善するためにできることは数多くあります。ただし、現場の担当者に確認を任せるだけの対策では誤出荷を効果的に減らせません。作業員が自然と業務ルールを守って作業できるようなフローの改善が重要となります。

特に、以下の7つの対策方法は、誤出荷を改善するのに有効です。

倉庫のロケーションを工夫する

誤出荷を防ぐために、まずは在庫を整理整頓し、倉庫のロケーションを見直すことが大切です。特に類似商品を近くのロケーションに配置している場合、ピッキングのミスが発生しやすくなります。作業に慣れてくると、必要な照合作業を行わず、商品自体の見た目だけで判断してピッキングを行いやすいためです。

商品カテゴリや商品番号を基準に保管場所を決めている事業者も多いものの、必ずしも商品番号順に商品を保管する必要はありません。類似商品はあらかじめ離れた場所に配置するなど、誤出荷防止を優先してロケーションを考えるのがおすすめです。

また、コスメグッズなどの細かい商品を取り扱う場合は、別々の商品同士が混ざらないよう、仕切りやパーテーションで区分けするとよいでしょう。

作業手順やマニュアルを見直す

作業手順が作業員に委ねられていると、一人ひとりが自分の感覚で倉庫作業をすることになり、進捗管理や問題発見が難しくなります。作業手順を統一して、ベテランから新人まで誰が見ても分かるようにマニュアル化しましょう。

作業手順やマニュアルを明確にすると、新人教育がしやすくなる点も大きなメリットです。マニュアルを見て誰でも作業できるような仕組みができれば、新人スタッフも即戦力として稼働が可能になります。ベテラン作業員が感覚で進めていた作業を、可能な限り言語化することを意識しながらマニュアル化するとよいでしょう。

また、誤出荷を減らすためにはダブルチェックの体制を導入することも大切です。人員に余裕がない場合は、1人で時間を空けて2回チェックするという方法もあります。

誤出荷が起きたときの原因究明ルールを作る

誤出荷が発生したときに、早急に原因を究明し、再発防止策を講じるためのルールを作ることが重要です。運よく大きな問題にならなかった場合でも、「ミスがあった」で終わりにはせず、逐一報告・原因究明を行う必要があります。

「ハインリッヒの法則」によると、1件の重大事故の背景には軽度な事故が29件あり、その背景にはさらに300件のヒヤリハットがあるとされています。明らかな事故だけではなく、ヒヤリハットの段階で報告・原因究明をしっかり行うことが、重大事故を起こさないためのポイントです。

ただし、ミスの報告を処罰の対象にしていると、作業員は報告を避けるようになります。原因究明を徹底する際には、同時に失敗を責めない組織作りを行うことが大切です。

ピッキングシステムを活用する

ピッキングをすべて人が担っていると、ヒューマンエラーが発生しやすく、誤出荷の元になります。そこで、ピッキング作業を効率化する「ピッキングシステム」を活用するのがおすすめです。

ピッキングシステムには、大きく分けて以下の2種類があります。

  • 人のピッキング作業を補助するシステム                
  • ピッキング作業そのものを自動化するシステム

ピッキングシステムを活用すると、人の手による作業ミスを減らせるだけではなく、業務効率が上がって生産性が向上する点が大きなメリットです。また、作業員の負担軽減や人件費削減にもつながるでしょう。

検品作業をシステム化する

大量の商品を目視で検品するのは難しく、ミスが発生するケースも少なくありません。ピッキングと同じく、検品作業もシステム化すればミスの削減や業務効率の向上を図ることが可能です。

検品作業のシステム化の例として、ハンディターミナルの活用が挙げられます。商品にバーコードやQRコードを貼付し、ハンディターミナルで読み取るだけで検品できるため、検品ミスの確率は大幅に下がり作業員の業務負担も軽減します。ハンディターミナルと組み合わせて検品データを集計・管理するシステムを導入すれば、検品作業をさらに効率化できるでしょう。

また、「RFID」という電波とICタグを用いた自動認識技術を活用すれば、遠隔から複数の商品を同時に検品することが可能です。RFIDは遮蔽物越しにも情報を読み取れるため、箱を開封せずに検品できるメリットもあります。

WMS(倉庫管理システム)を導入する

手作業による誤出荷が多い場合、WMS(倉庫管理システム)の導入が対策として有効です。WMS(Warehouse Management System)とは、商品の入出庫管理や在庫管理を行うシステムを指します。ロケーション管理や入荷・出荷管理、ロット管理、棚卸管理、納品書作成など、倉庫業務を幅広く支えるシステムです。

WMSを導入することでヒューマンエラーを削減でき、煩雑な業務や返品などのイレギュラーな対応も効率的に進められるようになります。また、倉庫内の商品の動きをリアルタイムで可視化でき、商品違いや数量違いにもすぐに気付ける点が大きなメリットです。

WMSにはさまざまなタイプがあり、中には賞味期限などを管理できるものもあります。取り扱う商品に適したWMSを選ぶとよいでしょう。

(参考記事)
WMSとは?倉庫管理システムの仕組みや物流業務へのメリット

物流業務をアウトソーシングする

自社での誤出荷対策やWMSの導入が難しいEC事業者の場合、物流業務のアウトソーシングがおすすめです。物流のプロに委託することで誤出荷を防止できるのはもちろん、EC事業者は本業である重要な企画や販促事業に専念でき、事業のさらなる成長を目指せます。

物流業務のアウトソーシング先を探す際には、自社商品と同様の商品を取り扱っている倉庫を選ぶと安心です。拠点の場所だけではなく、実績や対応力などをよく確認した上で検討しましょう。

まとめ

誤出荷を繰り返すとECサイトの場合はレビューの悪化や利用者の減少が起き、将来的な顧客を失う上にクレーム対応のために無駄なコストも生まれます。

誤出荷率が高い場合は原因究明を徹底し、工場のロケーションや作業手順・マニュアルを見直しましょう。ピッキングシステムの活用や検品作業のシステム化、WMSの導入なども効果的です。誤出荷対策が難しい場合はロジモプロのような物流業務のプロフェッショナルに業務をアウトソーシングすれば、誤出荷を防止できます。

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