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物流システムとは?仕組みや主要な種類・メリット・デメリットを解説

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物流システムとは?仕組みや主要な種類・メリット・デメリットを解説

2025.07.01

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物流業務の現場では、人的ミスや作業の属人化、非効率なルート配送など、さまざまな課題が発生します。物流全体の効率化や課題改善を実現する手段として注目されているのが「物流システム」です。IT技術を活用して入出庫管理や配送ルートの最適化、在庫状況のリアルタイム把握などを可能にする物流システムは、現代の物流において欠かせない存在です。

当記事では、物流システムの基本概要から代表的な種類、それぞれのメリット・デメリットまでを解説します。物流業務に課題を感じている方や導入を検討している担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

物流システムとは?

物流システムとは、製造から消費者への商品供給に至るまでの物流工程を、IT技術を活用して効率的に管理・最適化する仕組みを指します。物流システムは輸送・保管・荷役・包装・流通加工といった「物流5大機能」を一元的に管理し、拠点間での物の移動を可視化・最適化する役割を担います。

なお、物流システムという言葉は、広義には機材や車両などを含む物流全体の運用体制を意味しますが、狭義にはITベースの情報システムを指します。ITベースの物流システム導入により、在庫管理や出荷手配、配送状況の把握がリアルタイムで可能になるので、現代の物流においては不可欠な存在となっています。

主要な物流システムの種類

物流の効率化・可視化・省力化を実現するには、各工程に特化した物流システムの導入が欠かせません。物流現場では倉庫・配送・運行・在庫・追跡など、それぞれの段階で異なる課題が存在します。

ここでは、それらの課題に対応する代表的な物流ITシステムについて紹介します。

倉庫管理システム(WMS)

WMS(Warehouse Management System)は、倉庫内の入出庫管理・在庫管理・作業工程の可視化を行うシステムです。入荷から保管、ピッキング、梱包、出荷までの一連の庫内業務を効率的に管理し、作業の正確性やスピードを向上させます。

バーコードやRFIDを活用することで、リアルタイムで在庫情報を把握できるため、誤出荷や在庫過不足といったリスクを軽減する効果もあります。物流の中核を担う重要なシステムであり、複数倉庫の一元管理にも対応しています。

配送管理システム(TMS)

TMS(Transportation Management System)は、輸配送業務の計画立案から実績管理までを一元化するシステムです。配車計画、運賃計算、燃料費・外注費の管理、ドライバーのシフト調整などを自動化・最適化することで、属人的になりやすい配車業務の標準化を実現します。

また、倉庫管理システムや運行管理システムと連携すれば、配送全体の可視化と効率化も可能です。近年では、熟練配車担当者のノウハウをアルゴリズムに落とし込む形で、配送計画の精度と迅速性を高める取り組みも進んでおり、積載率の向上やCO2排出量の削減、配送コストの圧縮にもつながります。

運行管理システム

運行管理システムは、トラックやバンなどの輸配送車両の運行状況をリアルタイムで把握し、配車・ルート管理・ドライバーの運転挙動の管理を行うシステムです。車載器から得られる走行距離・加速度・アイドリング時間といった情報を収集することで、エコドライブや安全運転の指導にも活用されています。

また、各車両の稼働状況や運転手の労務時間の管理も可能なので、法令遵守と業務効率の両立が実現できるでしょう。輸配送業務における環境対応や安全性強化にも不可欠なシステムです。

貨物追跡システム

貨物追跡システムは、配送中の貨物の現在位置や配送状況をリアルタイムで確認できるシステムです。荷主企業はもちろん、最終顧客である消費者も追跡情報にアクセスできるので、顧客満足度の向上にも貢献します。

近年ではGPSやIoTセンサー、QRコード、RFIDなどの技術を組み合わせることで、より精緻な追跡が可能です。配送品質の向上や問い合わせ対応の効率化にも寄与する、現代の物流に欠かせないシステムです。

ピッキングシステム

ピッキングシステムは、倉庫内で出庫作業を行う際に、どの棚に目的の商品があるか、どの商品をどの順で集めるべきかなどを作業者に指示するシステムです。ハンディターミナルや音声ガイド、RFIDスキャンなどを活用し、ピッキングミスの防止と作業効率の向上を図ります。

特に多品種・小ロット出荷が増加するEC物流や小売業では、迅速かつ正確なピッキングが求められるため、導入の効果が高いと言われています。また、作業履歴や処理時間を記録することで、作業分析やKPI管理にも活用できます。

人手不足が深刻な物流業界において、省人化や作業標準化を支援する重要なツールの1つです。

物流システムを導入するメリット

物流システムの導入により、物流業務の効率化だけでなく、他にも複数のメリットが得られます。ここでは主な3つの利点を紹介します。

・物流業務の各プロセスを可視化できる

物流システムを導入することで、入出庫・在庫・配送・運行といった各工程の状況をリアルタイムで把握できます。これにより、属人的な管理に頼らず、誰でも同じ情報をもとに判断や指示を行えるため、業務の平準化につながります。データの活用により業務のボトルネックや無駄を分析したり、情報の透明性が高まることでトラブル発生時に迅速な対応が可能になったりするなど、プロセスを可視化するメリットは多数あります。

・サービスの質が向上する

物流システムの活用により、納期遅延や誤配送、在庫切れなどの人的ミスを削減できるため、顧客満足度の向上につながります。たとえば、配送管理システム(TMS)を使えば、最適な配車ルートの選定が可能となり、迅速かつ確実な配送を実現します。

また、貨物追跡システムにより、消費者が自ら配送状況を確認できるようになることで、安心感のあるサービス提供が可能となります。品質の高い物流は、リピーターの獲得や企業ブランドの信頼性向上にも大きく寄与します。

・コスト最適化に期待できる

物流システムの導入は、物流にかかる人件費・燃料費・保管費など、さまざまなコストの削減に直結します。たとえば、在庫管理システムを利用するとリアルタイムで在庫状況を把握できるため、過剰在庫や欠品リスクを回避し、適正在庫を維持できます。運行管理システムでは無駄な走行やアイドリングを減らし、燃料コストや車両維持費の削減が可能です。さらに、紙ベースの業務を電子化することで事務処理コストも抑えられ、全体として物流コストの最適化が実現されます。

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物流システムを導入するデメリット・注意点

物流システムは多くのメリットをもたらす一方で、導入時にはいくつかの課題も存在します。

まず代表的なのが、導入コストの高さです。WMSやTMSなどの本格的な物流システムを導入する場合、初期費用が高額になりやすい上、自社に合ったカスタマイズやシステム連携を行うと追加費用が発生するケースもあります。運用後も保守・アップデートに継続的なコストがかかる点にも注意しましょう。

また、最初のうちは現場の担当者が新しい操作画面や業務フローに戸惑い、作業効率が一時的に低下するかもしれません。特に物流業務は現場力に依存する部分が多く、操作教育やマニュアル整備、運用テストなど、段階的な導入プロセスが不可欠です。短期的な成果を求めすぎると導入が失敗してしまうこともあるので、効果が表れるまでには時間がかかると認識しておきましょう。

物流システム導入にはコスト・教育・定着の観点で十分な計画と準備が求められます。導入を成功させるには、現場の理解と協力を得ながら段階的に進めていく姿勢が大切です。

まとめ

物流システムは、プロセスの可視化や作業の自動化によって業務の効率化と品質向上を実現する有効な手段です。一方で、導入には高額な初期費用や教育期間、システム定着までの時間などのハードルも存在します。

物流の課題を解決するためには、自社でのシステム導入にこだわらず、物流業務そのものをアウトソーシングするという選択肢も有効です。専門業者に委託すれば、自社のリソースをコア業務に集中させながら、プロによる安定した物流品質を確保することが可能です。物流アウトソーシングを検討している方は、ぜひ一度ロジモプロにご相談ください。

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