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在庫回転率とは?計算方法や適正在庫との関係について徹底解説

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在庫回転率とは?計算方法や適正在庫との関係について徹底解説

2025.04.28

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在庫回転率は、在庫管理や仕入れ計画において欠かせない指標です。特にECサイトや小売業など、商品の入れ替わりが頻繁な業種においては、在庫回転率を適切に管理することが収益改善につながります。

ただし、単に在庫回転率が高ければよいわけではありません。回転率が高すぎれば在庫切れのリスクが高まり、低ければ不良在庫が発生して保管コストや在庫の劣化リスクが高まります。

この記事では、在庫回転率の基本的な考え方や計算方法、適正な在庫回転率の設定方法、在庫回転率を向上する方法について解説します。

在庫回転率とは

在庫回転率とは、一定期間内に在庫がどれだけ入れ替わったかを示す指標のことです。商品回転率や棚卸資産回転率とも呼ばれます。

在庫回転率が高い商品は、在庫の入れ替わりが激しく売れ行きがよい可能性が高い反面、在庫切れリスクも高いと言えます。一方で、在庫回転率が低い場合は在庫が長期間滞留して不良在庫が生まれ、保管コストが上がる恐れがあるため、仕入れの調整が必要です。

在庫回転率は、在庫管理や仕入れ、生産計画を考える上で重要な指標です。商品ごとに特性や販売戦略が異なるため、単に「高ければよい」「低ければ問題」というものではありません。

自社のビジネスモデルや商品特性に合った適切な回転率を設定すれば、在庫不足や在庫の無駄の発生リスクを減らしつつ、安定した供給体制を維持できます。

在庫回転率を把握するメリット

企業が在庫回転率を把握するメリットは、以下の通りです。

  • 在庫の動きを数値として可視化できる
  • 過剰在庫を抑制できる
  • 顧客ニーズを把握できる

まず挙げられるのは、在庫の動きを数値として可視化できる点です。感覚では把握しにくい売れ行きを回転率として算出することで、売れ筋商品と死に筋商品を明確に把握でき、適切な発注や仕入れの判断が可能になります。

また、在庫回転率の低い商品を把握すれば、過剰在庫の抑制にもつながります。在庫が滞留すると保管コストが増加するだけでなく、商品の劣化や破損リスクも高まり、経営に悪影響を及ぼしかねません。回転率を定期的に確認し、在庫数と販売ペースを最適化すれば、無駄なコストを削減しつつ販売機会を逃さない管理が可能です。

加えて、在庫回転率は顧客ニーズの把握にも役立ちます。継続的に回転率の高い商品は需要が高く、仕入れや販促を強化することで売上増加が期待できます。一方、低迷する商品の扱いを見直すことで、全体の利益効率を改善することが可能です。

在庫回転率の計算方法

在庫回転率は単純な計算で算出できます。計算方法は大きく分けて「金額ベース」と「在庫数ベース」の2種類があり、金額ベースは年間の在庫回転率を計算する際に使われます。在庫数ベースはより短い周期の在庫回転率を計算する際に使われる計算方法です。

金額から在庫回転率を計算する方法

金額ベースで在庫回転率を求めるには、次の計算式を使用します。

在庫回転率=期間売上原価÷期間平均在庫金額

「売上原価」は、商品の仕入れにかかったコストであり、「売上高」とは異なる点に注意が必要です。売上原価は「期首在庫+当期仕入-期末在庫」で算出し、平均在庫金額は「(期首在庫+期末在庫)÷2」で求めます。

例えば、年間売上原価が1,200万円、期首在庫が400万円、期末在庫が200万円のケースを考えてみましょう。平均在庫金額は300万円のため、在庫回転率は「1,200万円÷300万円=4」となります。

金額ベースの在庫回転率の計算は、決算書ベースで経営層が在庫回転率を把握する際に向いた方法です。

在庫数から在庫回転率を計算する方法

個数ベースの計算式は次の通りです。

在庫回転率=期間出庫数÷期間平均在庫数

平均在庫数は「(期首在庫数+期末在庫数)÷2」で算出できます。たとえば、年間出庫数が2,000個、期首在庫数が100個、期末在庫数が300個であれば、平均在庫数は200個となり、「2,000個÷200個=10」となります。

個数ベースの計算は現場でも直感的に回転率を把握できるので、現場の担当者が日常的な在庫管理を行う際に向いている計算方法です。

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在庫回転率と在庫回転期間の関係

在庫回転率と密接に関わる指標として、在庫回転期間があります。在庫回転期間とは、在庫が1回入れ替わるのにかかる平均的な期間を示すもので、以下のような計算式で算出できます。

日数÷在庫回転率

もしくは

棚卸資産÷期間あたりの売上高

例えば、年間売上高が1,800万円で棚卸資産が150万円の場合、1か月あたりの平均売上高は150万円(1,800万円÷12)です。そのため、在庫回転期間は「150万円÷150万円=1か月」となります。

在庫回転期間が短ければ、効率よく在庫がさばけており、保管コストや資金の固定化リスクも抑えられます。一方で、回転期間が長期化すると在庫滞留が発生し、劣化・破損リスクやキャッシュフローの悪化を招きかねません。そのため、在庫回転率とともに在庫回転期間も併せて把握し、バランスの取れた在庫管理を行うことが在庫管理において重要です。

在庫回転率と適正在庫の関係

在庫回転率は、適正在庫の算出にも活用できる重要な指標です。適正在庫とは、欠品による販売機会の損失を防ぎつつ、過剰在庫によるコスト増加も避けられる、理想的な在庫数を指す言葉です。

適正在庫は以下の計算式で算出できます。

適正在庫金額=期間売上原価÷目標在庫回転率

適正在庫については以下の記事で詳しく紹介しているので、ぜひあわせてお読みください。

在庫回転率を向上する方法

在庫回転率を向上する際に重要なのは、自社の現状に即した目標を定めた上で、リードタイムの短縮や在庫管理の適正化など、効果的な施策を実行することです。

在庫回転率向上のために実践したい3つの方法を紹介します。

目標となる在庫回転率を設定する

在庫回転率を改善するには、まず目標となる数値を設定することが重要です。明確な目標があることで、従業員の意識が高まり、現状とのギャップを可視化して改善に取り組みやすくなります。

目標在庫回転率は、以下の計算式で算出できます。

目標在庫回転率=目標売上金額÷目標平均在庫金額

なお、各業種における在庫回転率の平均値について、経済産業省は以下のように算出しています。

業種大分類 中小企業の平均回転率 大企業の平均回転率
製造業 12.6 10.5
卸売業 15.9 23.3
小売業 9.5 13.5

出典:経済産業省「4.中小企業の商品(製品)回転率」

製造業の中でも、製造するアイテムによって平均回転率は大きく異なります。例えば、プラスチック製品製造業の平均回転率は17.0なのに対し、繊維工業の平均回転率は7.1です。

目標値が高すぎると在庫不足の発生リスクが高くなり、低すぎると在庫数量が過剰になります。同業他社の実績も参考にしつつ、自社にとって無理のない在庫回転率の目標値を設定しましょう。

リードタイムを短縮する

リードタイムとは、商品を発注してから納品されるまで、あるいは顧客の手元に届くまでに要する時間のことです。例えばECサイトであれば、消費者が注文してから商品が届くまでの期間がリードタイムとなります。リードタイムが短ければ短いほど、在庫を長く保管する必要がなくなり、在庫回転率を向上できます。

また、リードタイムを短縮すれば、顧客のもとにすぐに注文した商品が届くため、顧客満足度向上につながる点もメリットです。顧客満足度が上がればリピート購入や良い口コミを得る機会も増え、在庫回転率をさらに向上する好循環を生み出せます。

リードタイム短縮のコツとしては、以下があります。

  • 仕入先や物流業者との連携強化
    発注から納品までのフローを見直し、納期短縮に協力してくれるパートナーを選びましょう。
  • ロケーションの最適化
    ロケーション管理により倉庫内の動線を改善し、出庫までの時間を短縮すれば、リードタイムを減らせます。
  • システムの導入
    WMS(倉庫管理システム)の導入をはじめとした、発注から納品までの各工程を自動化できるシステムを導入すれば、業務全体のリードタイムを減らせます。

なお、WMSについては以下の記事で解説しているので、ぜひご一読ください。

在庫を可視化し管理を適正化する

在庫回転率を正しく把握するためには、そもそも在庫状況を可視化し、リアルタイムで情報を把握する必要があります。WMSやPOSレジを導入すれば、入出庫の状況や在庫数を把握できるようになり、適正在庫についても管理しやすくなります。

売り上げが良い商品は早めに注文する、売れ行きが悪い商品は値下げや処分を検討する、といった形で、定期的な棚卸や在庫分析を通じて適正在庫を維持しましょう。また、季節商品の場合、売り上げの良い季節は在庫数量を多めに設定、低調になる季節は仕入れをストップする、といった形で、需要予測の上でフレキシブルに在庫量を設定するのも大切です。

まとめ

在庫回転率の適正化は、企業の経営効率を向上させるために重要な要素です。回転率を高めることで、余分な在庫を抑制し保管コストを削減できる一方で、リードタイムの短縮や在庫状況の可視化といった具体的な対策も必要です。

また、業界の平均的な回転率や自社の事業特性に合わせることも、在庫回転率を決めるポイントになります。在庫回転率を継続的に管理し、無駄のない効率的な在庫運用を目指しましょう。

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